ソプラノ

「あ、やべぇ・・・次移動教室だった!また後から来るからなっ!!」




陸は壁に掛けてある時計を見上げ、走っていった。








「好き、か」







俺は壁にもたれ、深く、陸の言った言葉を、繰り返し、繰り返し、脳に巡らせる。







―“好き”なのか?






―“好きじゃない”のか、分からない。








まだ、会って日は浅い、でも、柚と話していると、心が和む。






それと、柚の笑顔を、いつまでも見ていたい、と強く思うんだ。








「何なんやろ・・・?」





俺は頭をガシガシと掻くと、その場に座り込んだ。







「好きや」





そう言ったら君は困るだろうか?





―「好きじゃない」





そう言ったら君の笑顔は消える?








俺は交互に混じる気持ちを、心の中に響かせた。














―キーンコーンカーンコーン・・・・・・








授業の事を思い出し、慌てて立ち上がる。






「やばい!」




俺の耳に、小さく聞こえる2-Bのあいさつ。






俺は考えるのを後にして、教室に向かって走った。