―どう先生に言えばいいのかしら・・・。




私は涼ちゃんの願いを聞いてあげたい。





あの子にはいつも笑っていて欲しいだけなの・・・・・。







―コンコンッ



「失礼します。鈴野涼さんの診断結果です、お持ちいたしました」




「あぁ、ありがとう」







先生は涼ちゃんのカルテを見、次にいっこうに部屋を出て行こうとしない私を見た。




「どうしたんだ?」





先生は私に尋ねた。






「・・・あのっ・・・涼ちゃん、を1日外に出してあげることはできませんか?」





私は何を言われてもいいつもりで言った。








「うん・・・・そうだね。・・・・危ないとは思う」




―やっぱり・・・・・。



「が、涼ちゃんにとっていい思い出になるようなことだったら、いいんじゃないか?」







―“思い出”





その言葉が胸に突き刺さった。




「そ、うですか!じゃあ、1日いいということで?」





「ああ、でも、ちゃんと守ることは守るようにと伝えてくれ」




「はい、ありがとうございます!失礼しました」








―なぁんだ。よかったじゃないの。





許可も下りたし、なにより涼ちゃんが喜ぶ!




・・・・・でも何でだろう?





普通なら、こんないあっさり許可が出るはずが無い。










―先生、あなたはもう、“あきらめている”んですか?






涼ちゃんが“死ぬ事”を、当たり前だと思っているんですか?






私は、涙をこらえ、必死に笑顔を作り、涼ちゃんの病室に向かった。