ソプラノ

「へったくそだなぁ。」






俺は違うボールを手にすると、リングに向かってボールを放つ。









―ガコーンッ





3Pではなかったが、綺麗に弧を描いたボールはおしくもリングに当たって、床へと落ちた。








「あーぁ、バスケ部のくせに!」







由希はニヤニヤと笑いながら俺にボールを投げ渡した。








「うるせー!今のは本気じゃなかったし。」





「言い訳は結構!」





由希はぴしっと言い放つと、「ひでぇ!」と文句を言っている俺を見て笑った。













「ねぇ、試合、絶対、絶対見に行くから。」



「ん?あぁ!応援よろしく頼むよ~、そのでかい声で叫べよ?“陸~あいら~びゅ~!ファイト~!って。」



「はぁ!?最悪・・・・もー行かないっ!」



「なんだよ~冗談だろ?」





俺は、夕日でオレンジ色に染まっていく体育館で、ばからしいのに、何故か“この時間を大切にしたい”と言う思いを胸に秘めて、由希と笑い合っていた。













“ずっと、こんな風に由希と笑い合っていたい”







俺は、由希の笑顔を見つめ、「いつか、絶対云お。」と小さく呟いた。





「ん?何を?」





地獄耳の由希が俺の顔を不思議そうに見つめる。




「ん?なんでもない。」





相変わらず俺を不思議そうに見る由希を見て、「帰るか。」と笑いかけた。






「うん、帰ろ帰ろ。」







笑顔で答えた由希を見ながら、俺は思う。









―もっと、ずっと、由希の傍にいさせて。







俺はその愛おしい笑顔を、いつまでも見てたいです。      -END-