ソプラノ

―バタンッ









・・・・・体育館の扉が開く音だ。








そう思ったとき、フッと俺の記憶がそこで途切れた。






























「おい、陸・・・・・陸!」








弾の、大きな声だ。











「っ・・・・・・・・だ・・・」







俺は薄っすらと目を開け、弾の声のするほうを見た。











「おい・・・・どうしたんだよ?」








弾は鞄からタオルを出すと、俺の口元を押さえた。











「あ・・あぁ、これ・・・・ちょっと・・な。」




途切れ途切れにしかしゃべれない俺に、弾は「保健室行くぞ。」と言い、俺の腕を自分の肩につかませ、俺の体を支え、歩き出した。







「ったく、馬鹿だな。」








弾は呆れた様にため息をつくと、俺達をまるで芸能人を見ているかの様に眺める生徒を手で押しのけ、「邪魔だ。」と女子にまで言う始末。










―そんな弾がとても頼もしく見えたのは、俺だけかな?







俺は、そんなことを考えながら、ふっと笑った。