あの日......


今までわがままを言った事がなかったお嬢様が、たった一度だけわがままを言ったのです。


「龍之介......これからも執事を続けてね?絶対よ......」


それから、数日後お嬢様は息を引き取ったのです。


そして私は、お嬢様の約束通り、Sweet☆Rainのオーナーとして、執事を続けているのです。


「うっ......グスッ......そうだったんですね......私、これからもっと頑張りま......」

「......だったら、凄い感動話なんですけどね。残念ですが、私は元IT会社の社員で、執事ではありませんよ。」


「......へっ?......」


「おや。もうこんな時間ですか。そろそろお店を開けますよ。鼻水を拭いて、早く準備なさって下さい。」


「......」





オーナーはやっぱり謎です。

by綾菜