「お帰りなさいませ。ご主人様!」

私はとびっきりの作り笑顔をみんなに振りまいていた。
ここのメイドは、まだ私しかいなくて......
忙しすぎるー!

なんか、面接受かってバイトにきた子も何人かいたらしいんだけど。

全員、相原信次に苛められて?辞めちゃったらしい。

あいつ......恐いもんねー。

「おい。」
後ろから肩をたたかれる。
ビクッ。

「何驚いてんだ?まさかお前、仕事中にボケーッとしてたんじゃねーよな?」

「違......いますよ!」
やば。声裏返っちゃった。

「なら良いけど。3番テーブルから指名入ってるから、さっさと行けよ。」

バレなくて良かった......

「信次くーん!」
甲高い女性の声。
こいつの常連さんかな?

「只今参ります。お嬢様。」
相原信次は、とびっきりの笑顔になって、女の人の所に行ってしまった。

去り際に、早く行けよと言って。

客には優しいんだから。
......当たり前だけどさ。 逆に客にも冷たかったらビックリだけどさ......

ただ、なんかねぇ?

ムカつくというか、悔しいというか、寂しいというか?

そう思いながら、3番テーブルに向かった。