「.....と。」

綾菜はボソッと何かを呟いた。

「何?聞こえない。」

俺がそう言うと

「だから......助けてくれてありがとう!って言ったの!」

少し顔を赤くしながら、綾菜は言った。

......
何か、顔赤くしながら言われたら、こっちも照れるじゃん......

よほど恥ずかしかったのか、綾菜は顔を赤くしたまま俯いた。

......ドキッ。

ん?なんだ!?
何で俺、ドキドキしてんだ?意味わかんねぇ......
ってか顔熱い......



ゴンッ。

俺は、俯いている綾菜の頭を叩いて後ろを向いた。

本当は、頭でも撫でてやれば良いんだろうけど......

そんなの恥ずかしくて出来るかっ!


「......別に。」
俺はぶっきらぼうに、後ろでいきなりはたかれて、頭に「?」を浮かべているであろう綾菜に向かって言った。



......
暫くの沈黙......


の後。

七瀬が俺の顔を覗き込んで

「もしかして、照れてる?」

......

ゴンッ。

俺は無言で殴った。

今度は俺は悪くない。

綾菜が悪いんだよ!
この......馬鹿女!

七瀬は、頭を押さえて、軽くむつけている。

はぁ......
全く......



俺は七瀬を頭をポンポンと軽くはたき

「俺は先に戻ってるから、落ち着いたら来いよ?」

と言った。

七瀬が

「うん......」

と言ったから、俺は部屋をあとにした。



馬鹿な女なのは、最初から変わってない。

今でも、アイツを見てるとイラつくはずなのに......

どうしてだろう?

イライラよりも、放っておけないっていう気持ちの方が強くて......

俺......アイツの事......

でも、駄目だ。

アイツは雅哉さんが好きでここに来た。

どんなに俺にいじめられても、雅哉さんが好きだから乗り越えてきた。

......この気持ちどうしたら良いんだ......