来栖恭太郎は満月に嗤う

ハルパスの背鰭が、限界まで大きく広がった。

「俺を…愚弄するな!」

怒りは尤もだった。

彼とて故郷の南米アマゾン川では、刃向かう者のない人外の頂点に君臨していた筈。

それが、この俺の前では手も足も出ず、使用人に甘んじている他なかったのだ。

この屈辱、ここで晴らさぬ訳にはいかぬ。

ハルパスの頬が大きく膨らみ。

「!」

彼はその口から、高圧の水流を吐き出した!

スーツの裾を翻し、俺は咄嗟にその水流を回避する!

その威力は凄まじく、太い木々を薙ぎ倒し、地面に深々と亀裂を作った。

「水辺から引きずり出せば、俺が水鉄砲を使えないと思ったか?」

ハルパスの表情に、ようやく愉悦の笑みが浮かんだ。