来栖恭太郎は満月に嗤う

ともかく、ここに棒立ちになっていては蜂の巣にされてしまう。

馬の腹を蹴り、素早く走らせる!

「逃げるか、来栖!」

ハルパスの声だけが樹海に響いた。

湖の岸を離れ、湖へと流れ込む川沿いを走る。

その馬を狙うかのように、次々と放たれる狙撃!

木の葉を、岩場を、弾丸が掠めるような音が聞こえる。

立ち止まれば途端に狙い撃ちにされる。

決して止まる訳にはいかない。

このハルパスの狙撃の攻略方法を、俺は知っていた。

とにかく水辺から遠ざかる事。

そうする事で、奴は俺の前に姿を現さざるを得なくなる。

「逃げるだけが取り柄か来栖!『太陽の下を歩く者(デイライトウォーカー)』の名が泣くぞ!」

どんなにハルパスに挑発されようと耳を貸さない。

俺はひたすらに水辺から距離を置いた。