ここ最近の屋敷での生活は実に愉しい。

来客もなく、刺激もなく、変化もなかったこれまでの生活を思えば劇的な変化だ。

それもこれも、身の程知らずに俺への復讐を企てるリルチェッタ・スゴウが来てからだ。

彼女のお陰で、俺に恨みを持ちながらも燻っているしかなかった使用人達が触発され、水面下で動きを見せるようになって来た。

普通ならば、それは屋敷の主として由々しき事態なのだろう。

いつ寝首を掻かれるか分からない、おちおち眠ってもいられない状況。

しかしそれは、己に自信のない三流の思考だ。

その点、俺は違う。

食事中だろうと、入浴中だろうと、就寝中だろうと。

いつ何時如何なる時でも、俺は使用人達の復讐を受けて立つ。

彼らの並々ならぬ憎悪ですら、この来栖恭太郎にとっては日々の生活のスパイスでしかなかった。