だが、所詮は畜生なのか。

それとも野生動物特有の警戒心なのか。

ライガンは決して我が屋敷の人間達には懐く事がなかった。

傷を治療し、餌までくれてやっているというのに、一宿一飯の恩義すら感じず、それどころか隙あらば食い掛かろうとさえする。

先日も餌を与えようとしたリルチェッタが、危うく手首を食い千切られそうになったらしい。

ライガンに敵意を持たないリルチェッタにすらそうなのだ。

散々痛めつけた俺に対しては、遠くに姿を見とめただけで激しく威嚇し、咆哮を上げる。

とはいえ、やはり俺の方が上だという認識はあるらしい。

生意気な態度はとるものの、俺が接近すると身を硬くして距離を置こうとする辺り、やはり先日の『調教』が身に沁みているようだった。