来栖恭太郎は満月に嗤う

「リルチェッタ」

俺と視線を合わせる事なく後片付けをしていた彼女に声をかける。

…動きを止め、リルチェッタは俺の顔を見た。

睨むでもなく、しかし愛想を浮かべた表情でもない。

「何でしょうか、ご主人様」

抑揚の無い声で言う彼女の目の前で、俺はテーブルの上で両手を組んで見せた。

「お前も馬での散歩に付き合え」

「え…?」

心底驚いたといった表情で、リルチェッタは俺を見た。

それはそうだろう。

俺と彼女、1対1になる好機だ。

上手くすれば俺の隙を誘い、復讐を遂げられるかもしれない。

そんなチャンスが、こうも早々に転がり込んできたのだ。

思わず表情に出るというものだろう。