来栖恭太郎は満月に嗤う

水面に映る、アリカの影。

その影の中から。

「ご苦労な事だったな」

俺はヌッと姿を現した。

彼女が全速力で飛翔した数千キロの距離を、影を介する事で瞬時に移動した。

そしてアリカが振り向くよりも早く、彼女の背後をとる。

「……っっっ…!」

彼女の美しく白いうなじに、戦慄の汗が浮かぶ。

その艶かしさが俺の嗜虐心を刺激した。

「確か先に断っておいたな?『お前は俺にここで敗北し、外出する気もおきなくなるほどのトラウマを抱える事になる』と」

思わず口元が歪む。

嗜虐と嗜好を同時に満たせるこの瞬間が、俺はたまらなく好きだった。

「宣言を果たさせてもらうぞ」