来栖恭太郎は満月に嗤う

やがて全速力で飛翔を続けたアリカは、水平線の向こうに太陽が顔を覗かせているのを確認する。

一体何千キロ飛翔したのだろうか。

ここには夜の闇は存在しない。

ここは来栖恭太郎の間合いではない。

「や…やったわ…」

呼吸を乱しながらアリカが呟く。

何とか間合いから逃げ出した。

ここなら、攻撃を仕掛けられる事もない。

そう思い込んで、彼女は愚かにも警戒を解いた。

俺の言葉を忘れて。

…そう、ここには太陽がある。

光が闇を切り裂き、夜の終わりを告げる太陽。

しかし、光が照らせば影を作る。

そして俺は言った筈だ。

闇と『影は』俺の間合いだと。