来栖恭太郎は満月に嗤う

尚も俺の攻撃は続く。

両手を闇の中に差し入れる。

その左右の手がアリカの周囲の闇、四方八方から出現し、彼女を滅多打ちにする!

俺とアリカの距離は、優に100メートルは離れていた。

にもかかわらず、その距離をなかった事にしたかのように、俺の両手のみが彼女の周囲の闇から出現して、拳で殴りつける。

「くっ!」

たまらずアリカが回避行動に移った。

背中に黒い蝙蝠のような翼を広げて、上空へと高速で飛翔する!

その場から離れさえすれば、俺の攻撃から逃れられると思ったのだろう。

…浅はかな考えだ。

上空へと逃れ、安堵の溜息をつくアリカ。

その後頭部に。

「ぎゃあっ!」

俺は左右の拳を組み合わせて強烈な打撃を見舞う!

完全に不意を突かれたアリカは、受け身もまともに取れぬまま、無様に庭園の花壇の中へと叩きつけられた。