来栖恭太郎は満月に嗤う

突然目前の闇から現れた俺の平手に、アリカは驚愕する。

闇と影を己の間合いにするとはこういう事。

影や闇に自由に出入りするという事だけでなく、夜の時間…夜の帳が下りている間は、俺はこの世界の支配者に等しいという事なのだ。

「そら、ぼんやりするな」

暗闇の中に、またも右手を差し込む。

途端に。

「ぐぅっ!」

アリカの背後の闇から俺の右手が現れて、彼女の美しい銀髪を鷲掴みにした挙句引っ張り上げた!

更に左手も闇の中へ。

その左手はアリカの前に伸びてきて、彼女の腹へと強烈な拳を打ち込む!

「うぐっ!」

端正な作りのアリカの顔が苦痛に歪んだ。