来栖恭太郎は満月に嗤う

「夜と闇は吸血鬼のホームグラウンドだ。何ら驚く事はあるまい?」

ゴーレムの消えていった光景に震えすら見せるアリカに、俺は穏やかな口調で言ってやる。

「真祖…特に俺ほどの長命な千年真祖(サウザンド・デイライトウォーカー)ともなれば、闇と影は全て自身の間合いも同然なのだ。闇や影の中に自在に出入りし、移動する事が出来る…何、お前の次元操作に比べればつまらん能力だ」

「くっ!」

俺の説明の途中だというのに、アリカはそれもおとなしく聞く事なく振り向き様に手刀を放つ!

が、手刀は虚しく空を切った。

既に俺は背後にいなかったからだ。

「やれやれ」

彼女の遥か上空から、俺は溜息をついて見せる。

「年長者の話は聞いておくものだ」

そう言って俺は、夜の暗闇の中に『右手を差し込む』。

その右手は距離も間合いも超越して。

「あうっ!」

遠く離れたアリカの目前の空間にニョキリと現れ出で、彼女の白い頬を平手打ちした!