来栖恭太郎は満月に嗤う

直後。

「!?」

驚愕するアリカの前で異変が起こった。

俺の身を挟撃していたゴーレムの両の拳が、その狭間を中心にどんどんめり込み始めたのだ。

まるで左右の拳同士が食い合って相殺されるように。

或いは拳同士がその摩擦で磨り減っていくように。

その速度は目に見えて速い。

ゴーレム自身が戸惑っているかのように見えるほど、その岩石の体は瞬く間に二の腕までめり込んでいった。

「何!?何をしているの!来栖恭太郎!お前の仕業なんでしょ?」

先程まで余裕の笑みを浮かべていたアリカが、早くも癇癪気味に声を上げる。

自分の理解出来ない事、意のままにならない事は僅かでも気に入らないらしい。

「どこまでも屈折した育ち方をしたものだな、アリカ・ローゼンハイム」

俺は彼女に告げてやった。

彼女の背後で。