来栖恭太郎は満月に嗤う

アリカが槍を突き出す度に、閃光が走るようだった。

真祖の優れた眼力でなければ、蝙蝠化も間に合わずに心臓を一突きにされていたやも知れぬ。

爵位級悪魔と同等というだけの事はある。

アリカは武の腕前も、それなりの嗜みがあるようだった。

だがそれも所詮は人間相手に通用するレベルのもの。

我ら人外同士の戦いにおいては、そのような武術の腕前など繋ぎ技に過ぎない。

「死ねぇっ!」

大振りの槍を振り下ろすアリカ。

俺を頭から両断するつもりだったのだろうか。

しかしその斬撃も。

「子供のチャンバラ遊びだな」

俺は蝙蝠化する事で完全回避する。

結局、俺に傷をつける事ができたのは最初の一撃のみ。

以降のアリカの攻撃は、一度たりともこの俺に掠める事さえなかった。