来栖恭太郎は満月に嗤う

「ちょっと!」

激昂してアリカが怒鳴る。

…俺はウンザリしたような表情で、ようやく彼女に顔を向けた。

「上位悪魔である私の言葉を無視するとは、お前は何様のつもり!」

「やかましい小娘だ」

俺はスーツの襟を正した後、片手をヒラヒラと振った。

「そんなに女王様ごっこがしたいなら、後でライガンを貸してやる。ついでだからしっかりと調教してやってくれ。幾らでも脚を舐めてくれるぞ」

「………っっ…!」

アリカの額に青筋が浮かぶ。

そして次の瞬間。

「!」

突然。

どこから持ち出したのか、彼女は槍の穂先を俺の頬に掠めさせた。

…頬から滴る血液。

不意打ちとはいえ、この俺の身に傷をつけるとは大した腕前だ。

彼女が爵位級悪魔と同等の扱いをされているというのにも頷けた。