睨み合いはごく僅かの間だけだった。

「来栖恭太郎!」

これまでの屋敷での生活で、抑圧されていた俺に対する憎悪。

その感情を一気に解放して、リルチェッタは襲い掛かってくる!

激情に身を任せ、地響きすら轟かせ、突進してくる彼女。

しかし。

激情とは圧倒的な力を発揮する反面、時として冷静な判断をも失わせる。

脇目も振らずに、上半身のみとなった俺に突き進んできたリルチェッタは。

「!!」

その足元を、分断された俺の下半身によって払われる!

「下半身は既に死に体だと思ったか?」

体勢を崩し、よろけるリルチェッタに素早く接近する俺の上半身。

俺は彼女の首を片手で掴み、顔面に拳を叩き込む!