その速度、その力感。

真祖である俺ですら、回避は不可能なほどのものだった。

簡単に懐に入り込まれ、大岩の如き拳を腹部に叩き込まれ、俺は腰から上をその打撃によって引き千切られ、吹き飛ばされる!

巨体、鈍重そうな外見に似合わぬ俊敏な動きは、高位の人外であるこの俺ですら一時的に見失うほどのものだった。

これが、ヴィクター・フランケンシュタインが妄執の果てに生み出したという人造人間。

人間の手で生み出された人外の力か。

「成程…脆弱な人間の『闇』もなかなかに侮れない」

半身にされ、地面に投げ出された体を起こし、俺はリルチェッタを見た。

俺は真祖だ。

体を真っ二つにされた程度では絶命はしない。

しかし、このような無様な姿にされたのは初めての経験だ。

「さて…この屈辱…どう贖ってもらおうか…」