来栖恭太郎は満月に嗤う

吸血蝙蝠達の牙に喘ぐクレオ。

喉を押し潰され、虫の息のライガン。

人狼にミイラ男という、世界的にも名の知れた人外が二人も揃いながら、俺一人にかすり傷負わせる事も出来ずに瞬殺されてしまった。

「他愛ない…」

俺は元の姿へと戻り、腕組みして溜息をつく。

「もう終わりか?夜はこれからだというのに」

クレオが吐いたのと同様の台詞を口にして、せせら笑う。

その背後に。

「!」

ゾクリと、戦慄するほどの殺気!

咄嗟にその場を飛び退くと。

「来栖恭太郎!」

リルチェッタの拳が、先程まで俺の立っていた場所に叩きつけられた!

あの時俺が見たのと同じ、巨人と見紛うような巨大な拳。

その威力に庭の敷石が粉砕され、地面は大きく陥没した。

…静かに向き直り、俺はリルチェッタに視線を送る。

「いよいよ本性を現したな、リルチェッタ・スゴウ」

「ええ…」

激情と憎悪に心身を支配され、彼女は俺を睨んだ。