来栖恭太郎は満月に嗤う

しっかりと。

人狼の牙がこの身に突き刺さる。

「何でぇ…真祖様の肉は味も素っ気もねぇな…どれほどの美味かと楽しみにしていたんだが」

左腕の肉を噛み締めながらライガンが言う。

対する俺は無表情のまま。

痛みに顔を歪める訳でもなければ、焦りで冷や汗を流す訳でもない。

「痩せ我慢すんなって」

ライガンの咬合力が更に強まった。

「痛けりゃ遠慮なく悲鳴上げろよ!」

その顎の力は尋常ではなく、俺の左腕を根元から引き千切る!

常人ならば発狂に値するほどの激痛に苛まれるであろう傷だ。

しかしそれでも、俺は表情一つ変えなかった。

「面白くないですね」

クレオが呟く。

「来栖、貴方にはもっと苦痛にのた打ち回ってもらわないと、我々の復讐の達成感が感じられないというものです」