「何だお前、鈍くさいのな。」



普段は出さない笑顔だって、

簡単にこぼれる。



拾い終わったので、

彼女の名前を尋ねた。が、

返事は返ってこなかった。


彼女はただ、おどおどしながら

自分の喉を指さしていた。



「まさか、声でないのか。。。?」



俺がそう聞くと、頷いた。



声が出ないのは、凄く哀しいことだ。


伝える手段を奪われてしまったのだ。



黙り込んだ俺に、

彼女は心配したのか手を動かし始めた。



その手を見て咄嗟に分かった。



【手話】だ。