そんな時だった。


天から降り注ぐ歌声を耳にしたのは。



初めは合唱部の誰かが

練習をしているのだと思った。


でも、こんな澄んでいる声の部員は

いなかったはずだ。



誰の声だろう・・・?



「待たせたな、詠村っ!

って、どこ行くん?!」



川島の声など聞こえるはずもなく、

俺は校舎内へと走り出していた。


きっと川島なら後で

事情を話せば分かってくれる。


そう信じたからこその決断だ。