しばらく屋上のベンチに座り込んでいた。


俺の周りだけ時間が止まって、

世界だけが動いている。


そんな気分でいたが、

川島の声が下から聞こえて我に返った。



「詠村まだか~?もう帰るで~??」


「・・・もう下校時刻?!」


「遅いでホンマに。」



大急ぎでベンチから立ち上がると、

急に忘れていたはずの痛みが戻ってきた。



「いてぇぇえぇぇぇ!!」



俺が叫ぶとほぼ同時にドアが開いた。


そして、川島が出てきた。



「何しとんねん。」


「いや、ちょっと足がさ・・・」


「しゃぁないやっちゃなぁ。」



そう言いながらも笑って

川島は俺をおぶった。