ー ミーンミーンミーン・・

どこからともなくセミの鳴き声が
聞こえる。それだけで暑さが増す気が
する。あぁ、もう・・夏なんて嫌いだ。


「けーんーごー、あーつーいーっ!」
「俺もあちぃよ!先生ーアイスー!」
「んー、お願い!先生、アイス買って?」
「2人とも少し黙りなさい!!!!!」

7月末、全国の学生はワクワクの夏休み。
が、しかし。アタシと幼なじみの健吾は
制服を着て、学校で大量のプリントと
戦っているのでした。

「すぴーすぴー・・ご飯ー・・・」
「コラッ!藤岡ぁ!起きなさい!!」
隣で怒られてる健吾を見て笑う。

小さい頃から健吾とはいつも一緒で
くだらないことでケンカして知らない
間に仲直りして、笑って泣いて・・。
高校受験の時だって、アタシ達は自然と
同じ高校を志望してた。

「わーっ、健吾いっけー!!!!!」
「ちょっ、分かったから!動くなっ!」
健吾の自転車に二人乗りで学校からの
帰り道にある坂を下っていく。
自転車が加速する。風が気持ちいい。
アイス、何味にしようかなぁ。
今日は何だかバニラの気分だな。

「俺、今日はバニラがいいなー!」
「え、バニラ・・」 いつもはチョコのくせに。
「んー?何か言ったかぁ?」
そう。健吾とは、いつも考えが同じ。
何でもアタシのことはお見通し。
不思議で、悔しくて、ちょっぴり嬉しい。