淋しがりのストレイキャット

「菜月、」






次の瞬間、何故だか俺は菜月を抱きしめていた。
いつも抱くオンナとは違う、清楚なシャンプーの香りが鼻孔をくすぐる。


自分でも何をしているのかは、全くわからなかった。







「みっちゃん…?」



驚いて固まる菜月。
当然の反応だろう。むしろ突き飛ばされたっておかしくねぇ。


でも腕の中の菜月は次第におとなしくなり、まるで子供が母親に抱かれているときのようだった。



「泣いてんのか…?」




返事はない。
そのかわりに華奢な肩を小刻みに震わせているのは、俺にももちろんわかる。





何故、泣く……?





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