『あれって、最近婚約した
 堂華の夫婦じゃない!?』

 
『えっ、嘘うそ!?
 こんなところに夫婦で!?』

『紫堂のお坊ちゃま、やっぱり
 生のほうがすっごくカッコイイわねぇ』


こんなところに、あたしたちみたいのが
来ちゃいけませんか?


あたしたちの話をしている
本人たちに言いたくなる気持ちを
一人あたしは抑えていた。



このとき、
あたしの翔先輩への心配は
このヒソヒソ話が大好きなおば様がたに
かき消された。


スーパーの中に入り、 
どこのブースに行ってもあたしたちを
見つけた人たちは決まって同じことを言う。


これに気づいたのはあたしだけじゃなく
翔先輩も気づいているはず・・


ただ、声にも顔にも出さないだけで