怒りっぽいわたしは、かっとなって、男につっかかった。

「邪魔ってなによ!」
「そんなとこにぼーっとつったってたら、邪魔だろ。美人ならまだしも…こんなブスじゃなぁ」
「なっ…」
「じゃ、俺等も暇じゃねぇから。行くぞ、明希」

男はずかずかと歩いていく。
明希、と呼ばれた茶髪の男はちらりとこちらをみて、口パクで
「ごめんね」と言った。

ちゃんといえ、ちゃんと!

「あー、マジいらつく!」
「ほんと、なんなのあの人たち」

ぐちぐちいっていたら、ざっ、と音がした。

「えっ」

音がした海を見た。

水が跳ねてキラキラと光る。
太陽の光が燦々と照りつけ、水面には空のきれいな青色がうつっている。

そんなきれいな風景の中…
人が空中に浮いていた。 

時間がゆっくり流れた。

空中に浮いた人は、くるん、と一回転して、そのまま海に飛び込んだ。

わたしはただ唖然としていた。

「あー、今日いい波だー。明希もやれよ!」

飛び込んだ人は…さっきの黒髪の男だった。

その時からだったかな?

あいつが…
キラキラしてみえはじめたのは。