わたしはまだ、知らなかった。

これから始まる辛さを。



お父さんとこれから呼ぶ人の家は飛行機で移動する距離だった。

お母さんがなんでこんな遠い家の人と付き合ってたんだろうとかそんなのはこのとき思うはずもなく、ただ嬉しさばかりが心にはあった。


今思うと、これがわたしの人生が崩れていく始まりだったと思う。

わたしの不幸はここから始まった。

でも…不幸ばっかりやない。

幸せやってあった。

でも暫くは不幸続き…。






お父さんの家はアパートの一室だった。

前に住んでたところと同じくらいの大きさ。

2LDK。


ドキドキしながら見たお父さんは笑ってわたしたちを迎えてくれた。


まず弟の裕太を抱き上げた。

そして次はわたしなんだとドキドキ待った。


だけどお父さんの手は裕太にしか伸びず、わたしには目も向けてくれなかった。


どうしてなんだろう??

あ、たぶん明日はわたしの番なんだ。


そう思って我慢した。


でも次の日も、そして次の日もお父さんは裕太とばかりお風呂に入ったり、一緒に寝たりしていた。


「わたしも!!!」

その一言が言えない幼少時代。


裕太は幼稚園に行っているのにわたしは家で留守番。

お母さんが作って行った冷めたご飯をお昼は1人で食べた。


たまに涙でしょっぱかった。