......やっと終わった......

時計は8時を指している。
外はもう真っ暗。

急いで職員室に行ったけど、そこには当直の先生しかいなかった。

はぁ......先生帰っちゃった......

私は、しょうがないから、先生の机に出来上がった資料を置いて、学校を出た。


......
体育館にいないかな......?

ふと私は、そう思って、体育館に行ってみた。

でも、体育館は真っ暗で静かで、私の歩く音だけが、妙に響いて聞こえる。

やっぱり、いないか......

ガックリと肩を落として、今度こそ帰ろうと思った時、体育館脇にある体育教師が使う、体育準備室に灯が付いている事に気付いた。

もしかして先生?
......別の先生かも知れない。

でも、一部の望みを託して、私は静かに準備室の扉を開けた。

そこには、なれないスーツを着たまま、机に突っ伏して寝ている、安東先生がいた......

寒くないかな?

近くにあった先生の上着を手に取って、背中にそっとかけてあげた。

暫く近くで見ていたけれど、起きる気配はない。
余程疲れていたんだろう。今日はもう帰ろうと、席を立った時

ガシャン!
机にあった本を落としてしまった。

「うぇ!?」
慌てて、先生が目を覚ます。

あ......

「七瀬......?」

不意に先生の表情が歪んだ。

やっぱり、迷惑だよね......

頬が熱くなり、涙で濡れていくのが感じる。

「先生。私、もうプライベートに干渉したりしません。だから、普通に接して下さい!目も合わせてくれないし、避けられるのは辛いんです!」
私はその場で泣き崩れながら、先生に訴えた。

絶対に今、先生困ってるよね。


ギュッ。
先生の匂いに包まれる。先生に抱き締められているんだと、理解するのに暫くかかった。

「ごめん。ちゃんと普通にするから。明日からは元の俺に戻るから。......だから暫くこのままでいさせてくれ。」

私は大きく頷いた。

そして、私と先生は暫く抱き合っていた。

ごめんね?先生。
私嘘つきました。私はやっぱり先生が好きです。
迷惑はかけないから、これからも好きでいさせて下さい。