Love Step

クリスマスツリーの側のソファーに座れる場所を見つけた時、回転ドアに雪哉の姿を見つけた。



杏梨は満面に笑みを浮かべながら回転ドアに近づいた。



雪哉ともう一人、秘書の男性を見て近づく足が遅くなる。



「?」



雪哉が杏梨に気づき口元に笑みを浮かべた。



「山田さん、もういいです」



雪哉は隣にいる秘書の山田に小声で言った。



「ですが、本当に――」



「しっ、杏梨に聞かれる」



「ゆきちゃん、山田さん、こんばんは」



2人に近づくと、杏梨は挨拶した。



「こんばんは 杏梨ちゃん」



山田は雪哉より5歳年上で銀縁の眼鏡をかけていかにも秘書といった感じだが、身長が高くヒョロッとした印象を受ける。



昔からの知り合いらしく、信頼している人だと雪哉から杏梨は聞いていた。




「杏梨ちゃん、社長は――」



「山田さん!」



山田の言葉を雪哉はさえぎった。



山田は言葉を止めて雪哉を見る。



「……わかりました クリスマスを楽しんでください」



そう言うと山田は回転ドアの向こうの人になった。




「ゆきちゃん、どうしたの?山田さん、何を言いたかったの?」



言いかけた言葉がすごく気になる。



「なんでもない 送ってもらっただけだよ 予約の時間に遅れるね 行こう」



杏梨の背に手を置くとエスカレーターに促した。