Love Step

クリスマス・イブの前日、パリにいる琴美から大きな小包が届いた。



中身はアプリコット色の膝丈のドレスだった。



上質なハリと光沢感のあるサテン素材にミニになりすぎないふんわりとしたスカート、ウエストには同じ素材の大きなリボンはキュートで杏梨に似合いそうだった。



フリルが可愛い黒のボレロも入っていた。




「すごく可愛い~」



胸にアプリコット色のドレスをあてがってみる。



その時、パサッとカードが落ちた。



「カード……」



きれいな雪景色のクリスマスカード。



真っ白なおひげのサンタさんがプレゼントの入った大きな袋を肩から下げている。




【メリークリスマス 杏梨ちゃん   クリスマスディナーに間に合うと良いのだけれど   琴美】



「琴美さん……」



琴美の気持ちに杏梨は瞳を潤ませた。



「琴美さんを大切にしてくれる人が見つかれば良いな」



呟いてからもう一度愛らしいドレスを見る。



「はぁーーーー」



そのため息の意味は……。



ドレスは飛び上がるほど嬉しかったけれど、クリスマスディナーに雪哉から誘われていない。



「ゆきちゃん忙しくてたぶん無理なんだよね……」



カードを持った杏梨からもう一度「はぁ~」とため息が漏れた。



仕事が変わり、ずっと忙しい雪哉はいつも杏梨が寝てから帰ってくる。



土・日も休日も返上して仕事をしているから杏梨はつまらない。




忙しいからといってほったらかされているわけではない。



ちゃんと一日何回か電話をくれるし気遣ってもくれるから見守るしかない。




「明日帰ってくるんだよね 何時頃だろう……」



一昨日から神戸へ出張している。



まだ明日の帰宅時刻も知らされていない。



それでも明日は一緒にケーキだけでも食べたくてスポンジケーキを焼いているところだ。



部屋は甘い香りで充満している。