Ｌｏｖｅ Ｓｔｅｐ

雪哉が来るまでソファーに座り、雑誌を見ていた。



あっ！



パラパラとめくった所で、手が止まる。



きれーい……。



ウェディング特集の記事だった。



きれいなモデルがウェディングドレスに身を包み、これまたイケメンの青年に手を取られて教会の前で幸せそうに微笑んでいる。




ゆきちゃんは白いタキシードが似合う、ううん　どんな色のタキシードだって似合うに決まってる。



雑誌の２人を自分と雪哉に置き換えて想像してみた。



「う～ん……」



杏梨は首を傾げた。



「わたしがウェディングドレス……想像つかない……」



首から下げたチェーンにつけた婚約指輪をブラウスから出してみる。



その時、オフィスのドアが開いて雪哉が姿を見せた。



杏梨は立ち上がって笑いながら雪哉を出迎えたが、入って来た雪哉が渋い顔をしているのを見て微笑が消えた。



「言いたい事はわかるね？」



「……はい　でも、さっき琴美さんにばったり会っちゃったけれど何もなかったよ？わたしの方が避けられているみたいだし……」



「まあ……こんなに人の多いところでは何も出来ないとは思うけどね」



ゆきちゃんを怒らせちゃった……。



杏梨は不意に雪哉に近づき抱き付いた。



「怒らないで……ゆきちゃんに会いたかったの」



「何かあったのかい？」



珍しく甘えてくる杏梨に雪哉は何かあったのかと考えた。



「ううん　何もない」



顔を上げて心配げな表情になった雪哉ににこっと笑う。