Love Step

「しーっ 声が大きいよ」



杏梨が人差し指を口にやる。



「ごめん でも追いかけるなんて、どうしたいの?」



「また琴美さんじゃない人を連れているの」



「また?」



香澄が小首をかしげる。




「花火大会の帰りにはぐれたでしょう?あの時もあの人を見かけて追いかけたの 見失っちゃったけれど」



「あー!!あの時も追いかけたのっ!?あぶないじゃん!」



まったく何を考えてるのっ!?



「だって……気になったんだもん……」



そう言いつつも男の方に目を向けている。



「もう良いでしょ?帰ろう?」



香澄は杏梨の手を掴むと戻ろうとした。



「ちょ、ちょっと待ってっ、」



「杏梨っ!」



その声が大きかったのか、男が振り向いた。



そして怪訝そうな視線と目があった。