Love Step

「杏梨~ 今日の放課後、ひま~?」



朝のホームルームの後、急いで教室の端から駆け寄ってきたのは香澄だ。



朝、来てから話したのに今日の放課後、空いているかどうか聞くのを忘れた。



「うん 空いてるよ?」



次の授業の教科書をカバンから出しながら答える。



「良かった~♪遼平さんの誕生日があさってなの 選ぶの手伝ってね」



それだけ言うと急いで自分の席に戻って行った。



遼平さんの誕生日かぁ♪


香澄ちゃん、楽しそうだな。



香澄が席に着くのを見ていた杏梨は思った。



* * * * * *



放課後になり、待っていましたとばかりの香澄に連れられて渋谷へ出てきた。



「遼平さんのプレゼント、何にしよ~」



プレゼントで頭がいっぱいらしい。



「心がこもっていれば何でも喜ぶよ?」



アイスクリームを舐めながらまずはウインドーショッピング。



「遼平さんは大人の男性だからな~ あたし、同い年しか付き合った事ないんだよね 杏梨なら大人の男性が好むプレゼント知っているかなって 頼りにしてるよ~」



「た、頼りにって……わたしにも分からないよー」



ゆきちゃんにあげたプレゼントは数えるほどしかない。



付き合ったばかりの頃って……あれ?わたし……。



杏梨と雪哉の場合は一緒に住み始めてから恋人になった。



それに小さい頃から知っているから香澄と遼平のように付き合い始めた新鮮さが杏梨にはわからない。



「まあ、そんな事言わずに一緒に探してね♪」



それから色々と探し回った末に、オーストラリア発のアクセサリーに決めた。



ペンダントヘッド一つ一つの形に意味があるシルバーアクセサリーは遼平に似合いそうだ。



香澄が遼平に買うのを見ていたら杏梨も雪哉に買いたくなった。



あっ、これ ゆきちゃんに似合いそう。



「杏梨も買うの?」



「うん」



気になったネックレスを手にしてみる。