琴美に関して、雪哉も志岐島もこれでほぼ一安心と思っていた。
杏梨が琴美に接触しなければの話しだが。
学校が始まり半月ほどが経ったある日、杏梨は心を決めて携帯電話を手にした。
呼び出し音が長いこと鳴って相手は出た。
「もしもし 杏梨です」
相手は絶句しているようで言葉が返って来ない。
「……琴美さん お話があるんです」
杏梨の心臓もバクバクしていた。
自分を嫌いな相手に電話をかけるのには勇気がいることだ。
ましてや自分をおとしいれ怪我までさせた相手だ。
嫌いというより恨まれていると言った方が正しい。
『……何の用かしら?』
「電話では話せません」
『あなた、聞いているんでしょう?どうして?話をしても無駄よ』
琴美の胸も辛さで痛みを覚えていた。
弟が自殺した恨みはもうやめようと思っていた。
しかし、彼女の声を聞いてしまうと悲しみと辛さが襲ってくる。
眩暈を覚えて琴美はカウンターに手をついた。
その様子に麻奈が首を傾げる。
「……聞いています だけど、琴美さんと話がしたいんです」
人に恨まれて生きるのは嫌だ。
話し合えば分かり合えるはず。
『私の方は何もないわ』
プチッと通話が切れた。
琴美さん……。
琴美さんもずっと……ずっと……苦しんでいたの?
通話が切れた携帯電話を持ったまま杏梨はしばらくぼんやりと佇んでいた。
杏梨が琴美に接触しなければの話しだが。
学校が始まり半月ほどが経ったある日、杏梨は心を決めて携帯電話を手にした。
呼び出し音が長いこと鳴って相手は出た。
「もしもし 杏梨です」
相手は絶句しているようで言葉が返って来ない。
「……琴美さん お話があるんです」
杏梨の心臓もバクバクしていた。
自分を嫌いな相手に電話をかけるのには勇気がいることだ。
ましてや自分をおとしいれ怪我までさせた相手だ。
嫌いというより恨まれていると言った方が正しい。
『……何の用かしら?』
「電話では話せません」
『あなた、聞いているんでしょう?どうして?話をしても無駄よ』
琴美の胸も辛さで痛みを覚えていた。
弟が自殺した恨みはもうやめようと思っていた。
しかし、彼女の声を聞いてしまうと悲しみと辛さが襲ってくる。
眩暈を覚えて琴美はカウンターに手をついた。
その様子に麻奈が首を傾げる。
「……聞いています だけど、琴美さんと話がしたいんです」
人に恨まれて生きるのは嫌だ。
話し合えば分かり合えるはず。
『私の方は何もないわ』
プチッと通話が切れた。
琴美さん……。
琴美さんもずっと……ずっと……苦しんでいたの?
通話が切れた携帯電話を持ったまま杏梨はしばらくぼんやりと佇んでいた。


