その後、まだ飲み足りない志岐島を雪哉はマンションに誘った。



マンションの豪華さに志岐島は目を細めた。



「カリスマ美容師って儲かるんだな 俺なんか毎日疲れるほど仕事をしているっていうのにアパート暮らしだせ?」



探偵業を始めてまだ数年だが、だんだんと口コミで仕事も増えている。



収入も開業当初より安定している。



今では社員とアルバイト、事務員をいれれば10名ほどの事務所をかまえているので業績は良い方だろう。



雪哉がキッチンの中へ入ると志岐島は杏梨に顔を近づける。



「杏梨ちゃん、良い男を捕まえたよ」



志岐島に慣れた杏梨は笑う。



「ゆきちゃんがボロアパートに住んでいても好きだもん」



「おおっ!言うね~ ほんと、雪哉が羨ましいよ」



「ヒロも仕事ばかりしていないで見つければいい」



キッチンからグラスと冷えたビールを持ってきた雪哉がサラッと言う。