Ｌｏｖｅ Ｓｔｅｐ

「……ヒロは探偵で黒田さんを調べてもらっている」



「た、探偵さん……」



「彼女には半同棲関係の男がいるんだ　その男がもしかしたら階段でぶつかった男かもしれないと思って写真を撮ってきてくれている」



杏梨はまだ記憶しているあの男の顔を思い出してフォークを持つ手が汗ばんできた。



志岐島が口を開く。



「杏梨ちゃん、君に男の写真を見せる事に雪哉は反対したんだ　でも俺は確認した方が良いと思うんだ　どうかな？見れるかい？」



杏梨は眉根を寄せた。



あの時の男の顔は覚えている。


でも……見るのは怖い……。



その時、左手がぎゅっと握られた。



「ゆきちゃん……」



「無理にとは言わないよ？」



かすかに震える杏梨が気の毒になってそう言っていた。



「雪哉！」



志岐島が驚いて止める声が大きくなる。



「やっぱり杏梨の精神状態の方が大事だよ」



自分の事を第一に考えてくれる雪哉に杏梨は心が温かくなった。



安心感に包まれる。



「……わたし、見ます」