Love Step

「杏梨、この強面(こわおもて)の男が学生時代からの友人の――」



「志岐島です」



雪哉が呆然としている志岐島を紹介しようとすると、我に返った志岐島が自分で名乗った。



「杏梨です はじめまして……」



緊張した顔で挨拶をする杏梨に志岐島が苦笑いを浮かべた。



「そんなに緊張するとこっちも緊張してくるな」



「ヒロの顔は怖いからな 緊張するなって言う方が無理がある 杏梨、こんな顔してて優しいから大丈夫だよ」



「ゆきちゃんっ!」



雪哉の軽口に困ってしまい眉が下がる。



そこへウェイターがやって来て雪哉はワインとジンジャーエールを頼んだ。



* * * * * *



半年ぶりに会う雪哉と志岐島は楽しげに話をしている。



杏梨は生ハムのサラダを食べながら2人の会話を聞いている。



男性2人はワインを飲むばかりでもっぱら食べるのは杏梨だ。



食べていると2人が声をひそめて話をしていることに気づいた。



「?」


フォークを口に運ぶ手を止めて2人を交互に見る。



2人も杏梨を見ていた。



「ど、どうしたの?」



「ずっと悩んでいたんだけどね?」



雪哉が話しづらそうに切り出す。



「う、うん?」