Love Step

「どうしたの?」



「あの……お店のスタッフと仲が悪いって本当ですか?」



「……ええ あそこでは私はのけ者扱いなの オーナーに聞いたの?だから会ってはいけないって?」



最近のオーナーの私を見る目がなんとなく気になった。


感づかれているのかもしれない。



「会ってはいけないだなんて……」



杏梨は本当の事は言えなかった。



「杏梨ちゃんは同情してくれているわけね?」



「同情ではなくて……琴美さんが好きだから……」



ズキッ



琴美の胸に痛みが走った。



本当の痛みではなく良心の痛み。



どうして?私を好きって言わないでよ!



「あ、ありがとう 私も杏梨ちゃんが大好きよ 本当の妹みたいだもの」



戸惑いながらも機械的に微笑んだ琴美だった。



この子を前にすると落ち着かない。



また会う約束をした琴美は杏梨と別れる頃には冷静に戻っていた。



* * * * * *



店に入ると一瞬で空気が変わったのが分かった。



どうせまた私の悪口でしょう?



口角を上げて肩をすくめるとネイルサロンの方へ足を向けた。



途中、めぐみに会う。



「お帰りなさい 外で食べるなんて珍しいわね?」



この人は上に立つだけあって大人に接してくる。



「ええ ランチを食べがてら杏梨ちゃんを会ってきたんです」



とても楽しかったと言うように笑う。



「あ……そ、そうなの?」



めぐみが驚いているのを尻目にサロンへ入った。