お得意様を送り出した雪哉はオフィスへ事務処理をしていた。



そこへ携帯電話がなる。



探偵で友人の志岐島からだ。



「ヒロ」



『おう!今大丈夫か?』



元気な志岐島の声だ。



「あぁ 何か分かったかい?」



『黒田 琴美 両親が別れるまでは内村 琴美 これで分かるか?』



謎をかけられ雪哉は眉を寄せた。



内村 琴美……?



「内村……内村……まさか!!!」



『姉だよ』



「レイプ未遂犯の姉なのか!?」



雪哉は思わずイスから立ち上がった。



『犯人、健次は両親の離婚後、自殺したんだ 彼女はパリでネイリストの修行中だった 分かっているのはまだこれだけだが恨みの材料としては十分だろう』



志岐島の言葉に雪哉は疲れたようにイスの背にもたれた。



「恨み……か……」



『その女、早く辞めさせたほうがいいぞ まだ憶測でしかないが杏梨ちゃんに近づく為に入ったんだ』



「……だめだ、辞めさせれば彼女の行動が分からなくなる 近くにいた方が把握できるよ 杏梨は店には来ていないから今のところは安心だ」



『あぁ そうかもしれないな 昼間だけでも把握出来た方がいいな この間の事故がその女のせいだとは決まっていないが油断しない方がいいぞ?』



「もちろんだ 引き続き調査頼むよ」



『あと1週間もすれば分かると思う じゃあな』



そう言って志岐島の電話は切れた。