Love Step

「遼平、素人の杏梨にカットモデルをやらせるのは無理だよ」



雑誌社から派遣されたモデルが髪を切りたくないとごねて遼平は困っていた。



今夜、店が終わったら撮影の予定なのだ。



そこへめぐみもやって来た。



「あのモデル失礼しちゃうわ!そういう契約なのに」



杏梨はめぐみの怒った顔を見てあっけに取られた。



人前で憤慨しているめぐみを見るのは初めてだ。



「雪哉さん、あの子はプロ意識にかけています そんな子を使ってもうちのイメージダウンですよ?」



めぐみのそこまで言われて雪哉も考えないわけにはいかない。



「他のモデルは?」



「今日の今日で誰が来てくれるか……」



めぐみが両腕を前で組んで疲れたようにかぶりを振る。



「もちろんモデルで店のイメージにかかわる事だが……杏梨では役不足だよ」



ど素人の杏梨がカメラを向けられて自然と笑えるかと言ったら無理だろう。



「杏梨ちゃんは俺が描いていたモデルそのものなんですよ 上半身しか撮らないから問題ないです」



遼平はなおも食い下がる。



「……分かった 杏梨に聞いてみよう」