夕食が終わると仲居さんがやって来て隣の部屋にお布団を敷いてくれた。
旅館に泊まったことがないのでお布団は自分で敷くものと思っていた。
手が不自由なので自分で敷けない杏梨なのだが。
お膳の上もきれいに片付けられ、お布団も用意されて、後はお風呂に入る……。
目的はお風呂のはずなのに今日の一番最後になってしまった。
昼間、杏梨が恥ずかしいからと拒絶したせいだ。
杏梨は広い部屋の中をうろうろしていた。
ガラス向こうの露天風呂を見に行ったり、戻ってきたりと落ち着かないらしい。
「お姫様、どうしたら入ってくれるのかな?」
そんな声が杏梨の耳に聞こえてきた。
また露天風呂へと行きかけた杏梨の足がギクリと止まる。
衣擦れの音が聞こえ、後ろからそっと腰に腕を回された。
右手に触らないように気をつけてくれている抱きしめ方だ。
「ねえ?どうしたら入ってくれる?」
雪哉の唇は杏梨の耳を甘く噛む。
「っ……あ……」
「答えて?」
「ゎ、わかんない……」
「……そう……俺を困らせて楽しんでいるんだね?」
旅館に泊まったことがないのでお布団は自分で敷くものと思っていた。
手が不自由なので自分で敷けない杏梨なのだが。
お膳の上もきれいに片付けられ、お布団も用意されて、後はお風呂に入る……。
目的はお風呂のはずなのに今日の一番最後になってしまった。
昼間、杏梨が恥ずかしいからと拒絶したせいだ。
杏梨は広い部屋の中をうろうろしていた。
ガラス向こうの露天風呂を見に行ったり、戻ってきたりと落ち着かないらしい。
「お姫様、どうしたら入ってくれるのかな?」
そんな声が杏梨の耳に聞こえてきた。
また露天風呂へと行きかけた杏梨の足がギクリと止まる。
衣擦れの音が聞こえ、後ろからそっと腰に腕を回された。
右手に触らないように気をつけてくれている抱きしめ方だ。
「ねえ?どうしたら入ってくれる?」
雪哉の唇は杏梨の耳を甘く噛む。
「っ……あ……」
「答えて?」
「ゎ、わかんない……」
「……そう……俺を困らせて楽しんでいるんだね?」


