Love Step

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夕食は一品ずつ料理が出てくる懐石料理。



食べ終わった頃に次のを持ってくるからどれだけ食べたか分からなくなる。


美味しいから残さず食べちゃうし……。


家に帰って体重計に乗るのが怖いな。


食べすぎなのが分かっているのに食べてしまう自分が怖い。



ゆきちゃんはお料理に合わせて冷酒を飲んでいる。



浴衣姿に透き通ったブルーの冷酒グラスを口に運ぶ姿はカッコよすぎてじっと見入ってしまう。



その時、目と目が合った。



杏梨の心臓がトクンと高鳴る。



「ぉ、美味しい?」



じっと見入っていた事を「美味しい?」でごまかそうとした。



「飲んでみる?」



「いいのっ?」



「良いわけではないけれどね」



自分が18歳の頃は飲んでいた事を思い出す。



雪哉は笑って杏梨に冷酒グラスを差し出す。



グラスを受け取った杏梨は鼻を近づけてにっこり笑う。



「匂いは大丈夫みたい」



「案外、いける口なのかもしれないな」



「飲んでみるね♪」



ほんの一口、飲んでみた。



最初は大丈夫だと思ったのだが、喉を通る時焼け付くような感覚と辛さに襲われた。



「だ、だめっ!」



杏梨はオレンジジュースの入ったグラスに手を伸ばして急いでゴクゴクと飲む。



クックックッと押し殺したような笑い声がした。



雪哉が楽しそうに笑っている。



「もうっ!ゆきちゃん、わたしが絶対に飲めないって分かってて飲ませたでしょう!?」



「お子様の杏梨には無理だなと思ったけれど 可愛かったよ」



もうっ……口の中がまだ変だよ。


何でこんな美味しくないものが飲めるのか不思議。