Ｌｏｖｅ Ｓｔｅｐ

「温泉が目の前にあるんだから入ったら？」



窓際で景色を見ていた雪哉が言う。



「えっ……」



「打撲に効く温泉だよ？」



「い、今はいいよ、まだ浴衣着ていたいもん」



本当は恥ずかしいからそう言った。



「浴衣くらいいくらでも着せてあげるよ」



「……」



「恥ずかしい？じゃあ、一緒に入る？」



「一緒はだめっ！」



顔が真っ赤になった杏梨は即座に断り、首を横に振る。



「どうして？」



「は、はずかしいもんっ！」



恥ずかしいのを知ってて言ってるんだ。



「杏梨の裸は見ているだろう？」



「それでも恥ずかしいもん」



本当は何回でも温泉に入れば打撲の効能があるのだろうが雪哉はそれ以上言わなかった。



「それじゃあ、散歩しようか」



「うん♪行きたいっ」



２人は夕食まで外をぶらぶら散歩した。