Love Step

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翌朝、貴美香と春樹はマンションを後にした。




雪哉の愛車は首都高速道路を抜け、関越道に入る。



真夏の日差しが入り込んでいるが、エアコンで快適な温度になっている。




そんな快適な車の中、助手席に座る杏梨は眠っていた。



入院して体力が落ちたようだった。



たっぷり眠った方が良いと、車内にはクラッシックの静かな曲が流れていた。



平日とあって関越道は空いている。



頭の包帯は取れている。



右手のギプスは雪哉の目にはまだ慣れない。



これから数ヶ月間、外せないらしい。



可哀想に……。



不意に琴美の顔を思い出し、眉と眉の間に皺が出来る。




これから行く温泉でリラックスしてくれればいい。




途中のパーキングエリアに入ると眠っていた杏梨の目がパチッと開いた。



「ん……もう着いたの……?」



「いや、まだだよ お腹空かないかい?」



パーキングスペースに車を停めた雪哉は杏梨のシートベルトを外す。



「お腹空いたっ♪」



雪哉は笑みを浮かべると後部座席からストローハットを取ると杏梨の頭にかぶせた。