話の前に貴美香は料理を仕上げてテーブルは整った。



ママ達に話があるってなんだろう……。



杏梨は右隣に座った雪哉の横顔を見た。



その視線に気づいた雪哉は杏梨を見て優しく微笑みかける。



その顔を見たら悪い話じゃないんだと安心できた。



あたしもゆきちゃんに笑うと「ポンっ!」はじける音が聞こえてきた。



春樹パパがシャンパンの栓を抜いたのだ。



「杏梨ちゃんはほんの少しだけね?」と、春樹が申し訳なさそうに言う。



「はいっ」



お酒の良さなんてわからないから、わたしはコーラの方が好き。



杏梨のグラスに三分の一ほどシャンパンは注がれ、大人3人にはたっぷりとシャンパンは注がれた。



「杏梨、退院おめでとう」



貴美香が杏梨のグラスにカツンとグラスを合わせる。



春樹も雪哉も「退院 おめでとう」と祝福した。



退院おめでとうと言われるとなんだか照れくさい。



入院していたのはたった4日間の事なのに。



そう言うと、ママが「入院して退院したんだから、当然退院おめでとうでしょう?」と言う。



グラスを置くとゆきちゃんがお皿に色々と取り分けてくれ目の前にお皿を置いてくれる。



ママの手料理は久しぶりで、食べすぎちゃいそうだ。